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彼ら彼女らの大団円――『WORKING!!!』最終回すぺしゃる「ロード・オブ・ザ・小鳥遊」

 良い最終回だったと思う。アニメでいうと足かけ5年半と少し。これだけの期間見続けていると(2期と3期の間がだいぶあったわけだが)、感慨深いものがある。ここまで丁寧に完結までアニメに付き合ってもらえるというのも珍しい。

 

 『WORKING!!』(ややこしいので原作の表記に統一する)は時々原作を読みながらも、基本的にはアニメで展開を追っていた。最初にこの作品に触れたのは2010年の初頭に先行放送で1話が放送されたとき。友人が「次はこんなのをやるらしい」と紹介してくれたのがきっかけだった。1話というと、まだ小鳥遊とぽぷらの登場がメインで他のキャラも出揃っておらず、初見の感想としては正直「ふーん」ぐらいだった気もする。だが本放送が始まり、徐々にキャラが固まってくると作中でいうところの「病みつきになる危なっかしさ」というのがわかって来たらしく、あれよあれよという間にこの完結編まで毎回楽しんでみるようになっていた。だから、往年のファンの方からしたらにわか丸出しではあるのだが、個人的にはわりと思い入れのある作品だったりする。

 

 1期と2期の間が随分あいてしまって、その間には『サーバント×サービス』のアニメが放送されていた。あちらも高津カリノ節全開で、何とも言えない絶妙な人間関係を楽しんだものだが、『S×S』はかなり早い段階で長谷部がルーシーに好意を持ってしまい、初期の人間関係が変わってしまった。いや勿論アニメ後半のラブコメ展開も好きなのだが、どうしても話の方向性が恋愛という一方向に固まってしまい、もう少し宙吊りでもよかったかなぁという気にはなった。その点、『WORKING‼』はキャラが多いことや、小鳥遊や伊波が高校生であるため王道的なラブコメ流引き延ばしが容易だったこともあり、アニメでいう3期になるまで、そこまで恋愛方面を掘り下げなかった。そのため2期まで存分にワグナリアの日常ギャグを繰り広げる「物語を広げる」面白さを描き、3期では恋愛面を一気に進めていく「物語を畳む」面白さを提示するというバランスのよい造りになっていた。たまに『WORKING!!』と『S×S』のどっちが好きかという詮無い話題になるのだが、だから僕はどちらかといえば『WORKING‼』の方が好みだ。

 

 さてそろそろ最終話について。まあこの手のジャンルで最終話にいきなり衝撃展開があるということはまずなく、内容としてもある程度予想はついた。ちょっと小鳥遊と伊波が付き合うまでの小鳥遊母とのバトルは、この作品にしては大袈裟かなとは思ったが、今までのキャラを総出演させるという狙いを考えると悪くはないかもしれない。小鳥遊母は登場がやたらに遅いために今までの描き込みがほぼなく、「嘘つきは許さない」という行動理由がかなり意味不明だった。しかし最終的には小鳥遊父との馴れ初めが理由となっており、父の「ちっちゃいもの好き」が、同じような趣味を(ある程度)克服し伊波と付き合うことになる小鳥遊自身と繋ぎ合わされており、まあそれなりには無理のないものにはなっていた。

 

 また最終的に「働く」という主題や「職場」という場に立ち返っていたのは良かった。基本的に最終話のノルマは小鳥遊と伊波をくっつけることだったから、ラブコメ全振りなのかと思っていたが、ワグナリアで皆が働いているという設定を形骸化させず、これかも店で頑張っていこうみたいな話をきちんと入れていて、最終話として締まりが出ていたように思う。普通に社会人が主人公の『S×S』と違って、バイト仲間たちの物語である『WORKING‼』は「こいつらバイトないとき何やってるんだろうな」というぐらい、ワグナリアが主な生活拠点みたいになってるキャラが多くて若干不安になるのだが、終わりに際して峰岸の口から「バイト仲間の関係なんていつまで続くかわからないけど、長く続くといいね」と言わせることで、彼らの関係一時性(それは最終回近辺の人間関係の変化等でも窺われる)にきちんと言及し、尚且つ一時的なものであるがゆえに貴重な絆であるというちょっとした結びになっていて、まあまさしく大団円といったところである。「SOMEONE ELSE」が最後に流れるのはちょっとずるいよね。

 

 5年半ちょいというと、当たり前だが1期の放送は2010年。キャストを見てもいかにも2010年前後のキャスティングで、あの時最前線だった人たちが今でも活躍しているのには素直に感服させられる。1期は『デュラララ‼』の1期の2クール目と放送時期が同じで、『WORKING!!』の男性陣は大体もれなく『デュラララ‼』にも出ているという現象が発生していた。特に神谷浩史さん辺りは、キャラの設定とかも微妙にかぶっていてなんのこっちゃという話をしていたことを覚えている。あれから随分経ったが、最後まで『WORKING‼』は面白さを保ち、僕もずっと楽しみながら最終回に立ち会うことができた。今はその完結を祝いつつ、あのとき「ちょっと観てみ?」と録画した先行放送を僕に見せてくれた友人に感謝したい気持ちだ。