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誰のガールフレンドなのか?

 「一話切り」という言葉がある。視聴したアニメがあまりにもつまらない、ないし自分に合わなかったとき、観るのをやめてしまうことを指す。TVアニメは20分ちょっとという尺の性質上、一話では全容が掴めない場合が多く、三話ぐらいまで観るのが原則ということになっている。まあそのあたりは慣例なので、どうするかは自由なのだが、だからといって「一話切り」を誇るのはおかしい。一話で切るということは、その作品を受容することをやめたことに他ならず、それを偉そうに言われても挨拶に困るというものだ。

 

 さて、しかしながらこの記事はなぜアニメを一話で切ったかについての記事である。一話切りを堂々と喧伝するだけでもカッコ悪いのに、それについてあれこれ語るわけで、二重にカッコ悪い。どうせ書くなら、なんでこんなだらだら書いているんだと言われそうだが、これから書くことはともすれば悪ふざけに思われるかもしれない。ファンの方は不快に思われるかもしれない。だが個人的にわりと納得していることなのでご了承いただきたいと言いたかっただけなのだ。前置きが長くなった。そろそろ始めよう。

 

 TVアニメ『ガールフレンド(仮)』には、所謂主人公ポジションの男キャラが存在しない。原作となるソーシャルゲームは恐らく男性を対象としたものであり、プレイヤーとしての男性の存在は欠かせないものだ。それを敢えて失くしたアニメ版では一つの問題が生じる。放送前にも色々言われていたことだが、作中のヒロインたちは誰のガールフレンドか、という問題である。ガールフレンド(仮)というけれど、じゃあ(仮)ってなんなのかというわけだ。

 

 放送前は「最近流行りの百合テイストでしょう」ぐらいに思っていたのだが、一話を観てみて、僕のなかにある考えが生じた。それは「(仮)」の部分の意味についてである。恐らく原作となるソシャゲでは、「プレイヤーにとって近い将来ガールフレンドとなるかもしれないヒロイン」という意味で「(仮)」なのだろうと思われる。ヒロインとの親密度を上げていくギャルゲー的側面を楽しむというわけだ。しかしアニメ版ではそのプレイヤーは存在しないのだから、その意味は通じない。アニメ版では別の意味を考えねばならない。そう思いながら一話を観ていて、ある考えがよぎった。アニメ版における「(仮)」とは、「男キャラに提供される前の状態」という意味での「(仮)」なのではないか。言い換えれば「男キャラにとってガールフレンドとなるかもしれない」ではなく、「ガールフレンドとなるまでの待機状態」ということだ。

 

 つまりアニメ版『ガールフレンド(仮)』とは、ハーレムアニメの男キャラがまだ登場していない段階なのである。作中のヒロインたちは物語の中心となる男キャラが転校なり編入なりしてくる前の生活を送っているのだ。このアニメはハーレムが形成される以前の世界を我々に見せつけている。そして問いかける。「どうだ、つまらないだろう?」と。

 

 なぜ、『ガルフレ』がいまいち面白くないのか。それはこの作品の人間関係が中心を欠いたものだからだ。ヒロインたちが主人公に提供される前の「(仮)」の状態だからだ。ハーレムアニメで主人公がいないのでは話にならないのは明白である。しかしそうなると、『ガルフレ』のキャラは主人公が存在しなければ、満足に機能できない非常に不完全なキャラクターということになる。本来キャラとはそれ自体である程度の意味やキャラ性を持つものである。つまり『ガルフレ』のキャラは主人公に依存した畸形のキャラクターなのだ。

 

 近年のアニメが営々と積み上げてきた萌えアニメのノウハウの蓄積。それはこのような、主人公なしでは満足に機能もできない異形のキャラクターを延々と作り続ける行為でしかない。その事実を『ガールフレンド(仮)』は喝破し、我々の前に突きつけている。そう、このアニメは流行に乗っかったソフト百合アニメなどではない。むしろアニメ界のメインストリームたる萌えアニメへのアンチテーゼとなるアニメなのだ。『ガルフレ』のつまらなさは、そのまま萌えアニメに対しての強烈なボディブローとなる。このアニメを観て「やっぱ萌え豚アニメってクソだな」などと思ってはいけない。「今萌えアニメになにが求められているのか」を真剣に考えるべきなのだ。

 

 「誰のガールフレンドなのか」、そして「このアニメはなにを伝えているのか」。そのことに気づき、僕はすがすがしい気持ちで『ガルフレ』を予約リストから消した。教訓を得るのは、一話で十分だろう。何度も聞かなければわからない生徒ではいたくないのだ。

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コメント: 1
  • #1

    . (土曜日, 18 4月 2015 18:45)

    どっかの偏見クソ百合豚の自称アニメ評論家(笑)

    より、確実に的を得てる意見だと思う。