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『新世紀エヴァンゲリオン』14巻

 

 

『新世紀エヴァンゲリオン』14巻

漫画:貞本義行

原作:カラー

レーベル:Kadokawa Comics A

発売:2014/11/20

「碇ゲンドウは萌えキャラである」

それを二十年かけて再確認する、考えてみれば恐ろしい漫画だ。完結おめでとうございます。


 中三のときに友人に借りて読んだのが、最初だったと思う。僕が中学生のときは貞本エヴァはオタク入門書みたいな扱いだった気がする。まず、エヴァを読んで、ないし観てアニメファンスタートといった感じだ。『ハルヒ』といい『エヴァ』といい、なんで入門にこんな重いのが来るのだろうか。たぶん間口が広くて、奥が深いってことなんだろうな。TVシリーズが終わってもう二十年近く経ち、新劇場版もあと一つとなった今まで連載していたとなると、もう第三のエヴァなのだろう。なにを今更とも言えるが。


 内容は旧劇場版を下敷きにけっこう逸脱していったところの結末。正直あまりピンとは来なかった。端的にいってエヴァはここまであからさまに前向きな作品ではなかった気がする。どうしても最後はそうなるのかもしれないが、いい話にまとめすぎな気がする。


 驚いたのは最終話だ。まさかエヴァが『ラブひな』になるとはだれが予想できただろうか。アスカの成瀬川なる感が半端ない。シンジにそれほど景太郎感はないけれど。ケンスケは景太郎の友達に激似だった。まあ恐らく『ラブひな』がキャラ造形方面でエヴァの影響を受けていたんだろうが(アスカの造形はエヴァがオリジナルじゃないだろうけど)、回りまわって逆輸入されているのかもしれない。


 そして最終巻の最大の読みどころといえば、最後の読み切りであることは間違いない。碇ユイやゲンドウ(当時は六分儀ゲンドウ)の大学時代の京都が舞台である。ユイやゲンドウを見つめる大学生の少女の視点から描かれていて、静かな少女小説的な雰囲気が漂う。どことなく達観したところのある冷めた少女を視点人物にしているあたりが、五十嵐藍作品を彷彿とさせる。


 こういう冒険をしても成り立つのは、一つにはゲンドウやユイといった既にキャライメージが完成されているキャラを使っているところだろう。その軸がしっかりしているために、新たな要素で冒険しても、きちんと中心に戻ることができて、最低限の『エヴァ』の雰囲気を残すことができている。


 そして重要なのは、異常なまでにゲンドウが萌えキャラであることだ。微妙にシンジっぽい服装しているあたりが憎いではないか。さりげなく優しいところや、不器用っぽいところが最高に萌える。この後彼がユイ激ラブキャラになって、ネルフを率いるようになると思うと、感慨深い。ゲンドウとユイのなにげないありふれたエピソードにも、キャライメージの累積の重みがきちんと計算されていて、隙がない。


 ラストには、かなり驚かされた。髪を結んだところで「やられた!」と叫んでいた。こういう驚きは大好きだ。フェアかアンフェアかといえばたぶんフェアじゃないんだろうけれど(プリパラよりはアンフェアだ)、そんなの別にどうだっていい。要は感動したのだから。新劇場版と繋がる確率とかは低いのかもしれないが、(懐メロとか歌ってるのと微妙に符号するかも)、それでも最後に何とも言えない読後感を残していて、遂に終わっちゃったなだけでないのが、個人的には嬉しい。思い出の入門書にはいつまでも現役でいてほしいに決まっているのだ。