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『楽園追放』に思うこと

 『楽園追放』が快進撃を続けているらしい。感想も見ていると、絶賛の声が多い。正直な話びっくりしている。いや別にこの作品の出来が悪いとかそういうわけではないのだが、自分の経験からこの手の作品には否定的見方をする人が多いだろうなぁと思っていたので、皆が諸手をあげて褒めているのは、なんというかまあ予想外だ。「みんなどうせけなすんだから、俺は褒めるか」と思っていたのに、なんだか変な気分だ(それも随分な言いぐさだが)。なんでこんなにヒットしているのかつらつら考えてみる。今までこんな記事書かなかったので、「その他」という欄を作ってみた。そして、いつものですます調もやめてみた。正直こちらの方が落ち着く。

ちなみに作品の感想はこちら

『楽園追放ーExpelled from Paradise』

 

・ストーリー 

 前にも書いたが、ストーリーは至って単純なのだ。ひねりがないと言ってもいい。ヒロインが見下していた世界に行ってみて、そこで大切なものを見つけて、自分の元いた世界の暗部も見てしまい、最終的に新しい世界で生きるというやつだ。ぶっちゃけ途中からオチは読める。僕が「否定的意見が多いんじゃないか」と考えたのは、主にこのあたりで、所謂王道ストーリーは今の視聴者には受け入れられにくいのではないかということだ。僕自身あまり得意でない五段階評価をしてみて、この作品が4ぐらいだと思うのは、ストーリーに陳腐さにある。 

 

 別に王道作品をテンプレと言って批判するつもりはない。そんなのはどうしてそれがテンプレになったのかわかっていないだけだ。一つ一つは陳腐でもそれを組み合わせ、洗練させていく傑作は存在する。だが、『楽園追放』がそういうジャンルかというと微妙なところだディーヴァの仕組みとか、リアルワールドとの対比とか、深読みしようと思えばできるところもあるのだろうが、まず表面的に見えるストーリーレベルでそれほど捻っていない作品であることは疑い得ない。正直虚淵玄という発想でいくなら『叛逆』とかの方が明らかに出来はいいと思うのだが、『叛逆』とかに比べて否定意見はそれほどないようだ。なんだかんだでこういう王道が好まれるのか、結構ハードな話としてこのストーリーも受け取られているのか、そこは不明か。

 

 時折思うのだが、虚淵玄の作品は容赦ない展開やら善悪のはっきりしないストーリーを打ち出している割に、簡単に良い側を決めてしまっている。たとえば『まどか』では魔法少女システムを是認するキャラクターがいない。法外な奇跡の代償としての魔法少女を受け入れる存在がいてもおかしくないではないか。そういう真希波ポジションのキャラがいないのだ。『ガルガンティア』でも結局レドの元いた銀河の戦争の是非にはあまり触れていない。まだ中立なのが『PSYCHO-PASS』だろうか。『楽園追放』においては、アンジェラの同僚は容赦なくアンジェラにボコられる。戦闘シーンでは顔すら映してもらえないのだから残酷だ。この場面はアンジェラの凄惨さを意図的に隠していて、偽善くさいというのはこの前書いた通りである。「理想社会への疑問」というのはわかるが、「なぜそれが理想たり得るのか」も問うことがフェアなんじゃないのかと思うのだ。


・キャラクター 

 アンジェラ・バルザックが可愛いというのは集会一致のようだ。これは水嶋精二の作戦勝ちと言わざるを得ない。前からキャストの配置が上手いとは思っていたが、ここ数年でもトップクラスに釘宮の使い方が上手いだろう。ツンデレ声と大人っぽい声の両方を出せるという強みをフルで活用している。いつも思っているが、事ここに至って釘宮理恵をゼロ年代中盤から後半にかけてと同じような起用をしているのは、最早古臭い以外の何物でもない。水嶋監督はそのあたりを考えているのかなと思う。 

 

 前回に続き釘宮理恵の話しかしていないが、これは別に他に興味がないのではなく、他のキャストは概ね予想通りだったからだ。確かに三木眞一郎演じるディンゴはカッコいいが、みきしんならやってくれると思っていた範囲内ではあった。それは神谷浩史も同様。アンジェラの同僚にやたら大御所を配置していたが、如何せん出番が少ない。

 

・CG、映像

 正直ここに関しては言えることはあまりない。詳しくないからだ。僕自身はCGやら作画が凄くても、なんとなくすごいなあぐらいにしか思わないタイプである。ただこの作品のCGがすごいのはなんとなくわかる。上映中CGってことをそれほど意識しなかったからだ。滑らかに動くCGというのはなかなか無敵ではなかろうか。

 

 いつも思うのは、この手の技術方面だけで作品を観れる人がどの程度いるのかということだ。作画が良ければアニメは観れるって人もいるが、『楽園追放』を褒めている人の何割かは迫力とか映像方面で褒めているのかもしれない。ミステリをトリックさえよければ褒められるというようなものかもしれない(違うか)。

 

・まとめ

 とまあ、個人的見解としては、「王道がなんだかんだ好きだ」、「キャラがかわいい」、「映像が美麗」というあたりが好評なのかな

と思っている。密かに応援している作品が売れたら、その理由を考えているあたり、ひねくれ者はつらいと言ったところか。

 

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コメント: 1
  • #1

    FF5 (木曜日, 27 11月 2014 00:18)

    概ね同意見ではあるのだが
    ストーリ―については一つ。
    虚淵自身が語っているのだが、
    「この作品はなるべくシンプルな話にした」
    王道の作品というのは正直けなしにくい。叩きにくい。
    工夫が上手く行かなかった点をけなすのは非常にお手軽だからこそ、これだけシンプルだと尺などの部分くらいしか工夫がないので、そのくらいしか言えない。
    まして、映像の完成度がこれほど高い状態であればなおのこと、ストーリーが陳腐である、ありきたりだ、ということそのものは”印象に残らない”というのが正しいのではないか。
    ストーリーは添え物、今回の虚淵は間違いなくその役割に徹して、映像全体の完成度を押し出した、そういうプロフェッショナルの役割に徹したのだと思っていますよ。