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『プロメテウス』



監督:リドリー・スコット

脚本:デイモン・リンデロフ、ジョン・スペイツ

公開:2012/5/30

 「人類の起源」に迫るリドリー・スコット監督作にして、名作『エイリアン』の前日譚ともなる2012年公開の映画。謎めいた予告編が印象的で、どんな内容かとワクワクするのですが、観てみると「どこがよかったか」というより、「何がダメだったか」に視点がシフトしてしまうのは否めないですね。ボロカスに叩くほどでもないかもですが、色々ミスってる映画だとは思います。


 ①扱うテーマ

 「人類の起源」という壮大なテーマを掲げ、その謎を追うという形はいいのですが、土台「映画」という媒体に向いていない気がします。冒頭のエンジニアのシーンなんかは改めて考えないと意味がわかりませんし、他にも思わせぶりな話題をやり過ぎて、なにがなんだかわからないまま終わってしまいます。ぶっちゃけ解説サイトとかまで見るのを見越してる印象があります。別にいつもいつも明快なストーリーを作れとは思いませんが、映画というのは一方向性が強く、上映時間中に観返したりできないわけですから、せめてそのぐらいは親切な造りにしてもいいんじゃないかなと。『エイリアン』も哲学的な要素が非常に強い作品でしたが、これには未知のモンスターとの遭遇という単純かつ強固なプロットがありました。そのため少々抽象的な話をしても、ちゃんと本筋に戻ってこれるようになっていました。しかし『プロメテウス』は全編抽象的なため、軸が定まっていず、この手のジャンルに慣れているとかでなければ十中八九ストーリーを見失うでしょう。


 ②ホラーとして

 壮大なテーマを敷きつつ、ストーリーの随所に未知の星で謎のモンスターと遭遇するホラー要素が見受けられます。しかし「人類の起源」ネタもやりつつなので、どうにもこちらが不徹底になって、いまいち迫力に欠けます。加えてまずいのが、未知のモンスターが、エイリアンもどきだけでなく、エンジニアにゾンビ化した人間と三種類もいます。モンスターものとして、これはダメでしょう。『キングコング』と同じ現象ですね。『エイリアン』にあった忍び寄る恐怖みたいなのもないですし、もっと単純にパニックもの的派手さもないです。


 ③『エイリアン』との距離感

 『プロメテウス』はスコット監督の出世作『エイリアン』の前日譚ともいえる作品です。もともと完全なエピソード0の予定だったのが、「人類の起源」という独自のテーマを持った独立した作品になったらしいです。とはいうものの、結構『エイリアン』に頼った造りというか、『エイリアン』観てないとこの映画はわからないと思います。あと正直に言いましょう。途中から「人類の起源」ネタよりどう『エイリアン』に繋がるかのほうが遥かに気になりだします。どうしてスペースジョッキはあの場所にあったのか、リプリーが受け取った警告は一体なんなのか、そっちに意識がいくわけです。


 しかしながら、『プロメテウス』は続編を意識してるのか、伏線を丁寧に回収してくれません。スペースジョッキーがなぜあそこにあったのか、分からずじまいでした。流石にそれはどうなのか。変に独立作を意識しているせいで、『エイリアン』前日譚としてもいまいちという結果になってしまっています。


 総括

 『エイリアン』という映画が傑作であることは、疑い得ないでしょう。『プロメテウス』も個々の部分ではいい点もあるのですが、大抵『エイリアン』のほうが優れており、なら『エイリアン』観ればいいのではという身も蓋もない結論に達してしまします。もう少し、しっかりとしたプロットに立脚してつくれば、もっと多くの人に受け入れられる作品になったのではないかなと思います。