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『ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック』



作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

レーベル:電撃文庫

出版:2014/11/8

 上遠野浩平の代表作ブギーポップシリーズ第19作目です。定期的にブギー本編を出してくれるのは嬉しいですね。代わりにというか『無傷姫』の年内刊行は絶望的みたいですが。

 

 通説ではないので恐縮ですが、僕は『さびまみれのバビロン』までを勝手にブギーポップを4つの時期に分けて考えています。分け方は以下の通り。

 

 第一期:『笑わない』~『パンドラ』

 第二期:『歪曲王』~『ホーリィ&ゴースト』

 第三期:『ジンクスショップへようこそ』~『オルフェの方舟』

 第四期:『沈黙ピラミッド』~『さびまみれのバビロン』

 

 1期はノスタルジィ色が強めで、まだ統和機構の話もあまりなかったとき。2期は統和機構側の登場キャラが増え、ドッと統和機構やらにストーリーが振れていき、バトルがぐっと多くなる時期。バトル描写が派手なのもこの時期かと。続いて2期のノリを『ビートのディシプリン』に譲り、オキシジェンの登場に代表される、設定の複雑化が特徴の3期。そして初期が持っていたノスタルジィ色に回帰し、その巻だけのキャラが中心になるスリムな話が特徴の4期です。

 

 少々『歪曲王』と『オルフェ』の扱いに、少し困るのですが、寺月恭一郎の登場ということで、『歪曲王』は2期に、4期が『沈黙ピラミッド』的話を繰り返すことから『オルフェ』は3期に数えています。

 

 というわけで、しばらくの間、ブギーポップは『パンドラ』に似た雰囲気を『沈黙ピラミッド』以降続けていました。既存のキャラがあまり登場せず、そもそも登場キャラもMPLSが関わり、その関係が変質していくというシンプルなものでした。その点からいうと、『デカダント・ブラック』は少し雰囲気を変えていました。

 

 まず第一作からのキャラ新刻敬が今回のメインを張っています。内容も心の在り方や内面の問答などが中心になっていて、ちょっと前のノリに戻ったように思います。MPLSもわりと派手で、引き込まれるものがあります。ぶっちゃけ最近のなかではかなり面白いほうです。

 

 ただ、これは前作まで同様の内容を、既存のキャラにしたぶん面白くなっただけで、本質的な進歩はないのでは、と思わないでもないです。確かに雰囲気は前と結構違うのですが、これも今までの神秘性の解体から得たパワーのような気もします。本作では今まで描いていたことをけっこうわかりやすく書いている部分もあって、今回に限ってはそれがよく働いていますが、あんまり何回もやるとまずいのではと、ちょっと思いました。それと後半にあった運命論がわりと『ジョジョ』5部まんまでしたね。上遠野先生のジョジョ好きは有名ですが、先生の作品はやっぱり5部っぽい雰囲気だなぁと。小説も書いてますしね。

 

 まあそうは言いつつ、『デカダント・ブラック』は面白かったです。『エンペロイダー』では今風の能力バトルを書きながら、こっちではちゃんと本編のノリを忘れてないのは流石ですね。

 

 次が出ればブギーポップも20作目。そろそろ終わりを見据えてらっしゃるんじゃないでしょうか。『ブギーポップ・ストレインジ』はいつ出るのか。楽しみでなりませんね。でも今は『無傷姫事件』が早く読みたいなぁ。