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『残響のテロル』最終話

 『残響のテロル』という作品は異常なまでに下方修正が上手い作品です。ここまで風呂敷畳むことに腐心したアニメもなかなかないでしょう。このアニメがここまで頑張った以上、やたらめったら話広げて最終話で回収しきれないアニメは全て甘えであるということで、そういう意味ではある意味スケールが大きいアニメの目印となる作品となったと言えるでしょう。

 

 この作品は序盤の1~4話は、ナインとツエルヴがスピンクスを名乗り、テロを仕掛け、そのテロの回避法をネットで公開し、柴崎刑事との謎解き合戦を展開していました。毎回繰り出される色々なテロと奇抜なクイズというのが前半を彩った要素でした。1話のプルトニウム強奪から始まり、都庁での大掛かりなテロ、なにかとても大きなものへの抵抗を予感させる雰囲気と合わせて、スケールの大きい社会派の作品として『残響のテロル』は認識されていました。

 

 ただここで多くのアニメが直面する困難がこの作品にも待ち受けていました。スピンクスと柴崎のクイズの応酬はいい、毎回テロやるのもいい、だけど……どうやって終わらせるんだ、コレ? そう、この1話完結型の展開をどこまで続けるのか、毎回趣向を凝らしたクイズをどの程度用意できるのか、そしてそれを最後のカタストロフィにつなげていけるのか。もしかしたら冴えた方法の一つや二つあるのかもしれません。ただ僕は思います。無理です。風呂敷広げたはいいけど、畳む手段がまるで思いつかない。となるとなにか路線を転換しなければならない。――そこでハイヴの登場です。

 

 5話になって登場するナインたちのかつての仲間、ハイヴ。彼女は彼らと同等の知能を持ち、ナインたちを追い詰めます。ここに来て、『残響のテロル』は初期の巨大スケールの社会派作品から、『DEATH NOTE』的な頭脳戦へとストーリーを修正していきます。細かいキャラ設定はともかく、立ち位置が完全に夜神月となんですよね。初期と異なり、緊迫感のある展開が目立ちました。が、ハイヴがあまりに組織を私物化しすぎていてアメリカ政府はなにをしてるんだとか、柴崎を中心とした刑事ものっぽい要素が増えて(面白かったんだけどね)これ大丈夫なの? という疑問は確かにありました。

 

 それが大体最後のほうまで続いて、ここでもう一つ問題が生じました。どうもハイヴのキャラが強すぎて、このままではこいつ倒すだけで終わってしまう、アテネ計画の伏線とかも張ってるのにどうしたものか。そこで突如導入されるのが、アメリカ政府という軸です。そこで、ハイヴはあっさり10話で退場し、最後のテロへと話が映っていきます。思わせぶりにプルトニウムと言っておいて、結局原爆なんですね。原爆の高高度爆発、知ってますよ『HIGH SCHOOL OF THE DEAD』でやったやつでしょう。こっちと違って『テロル』は電子パルスまったく生かせてなかった気がしますが。最終的に『残響のテロル』は告発するためにテロを起こして、でもアメリカの陰謀のために死んで、でも誰かが志を引き継いで目的は果たすというどっかで聞いたことのあるような内容で終わりました。確かに意外性はまるでありませんが、ケチもつけられない終わり方です。

 

 そう考えると、『残響のテロル』最大の失敗っぽかった三島リサのキャラの変化にも理由がつけられそうです。リサは1話のプールのシーンに始まる初期の、茫洋とした少し神秘的なキャラが印象的でしたが、5話以降見事にお荷物キャラへと転換していきます。ぶっちゃけ後半彼女は苛立ちしか生まないキャラになるのですが、この作品の下方修正のベクトルを考えるとそれも納得できます。初期の神秘キャラを、ハイヴとの頭脳戦にシフトした作品内で描いていけるか? 無理です。母親との関係とか盛り込める? 無理です。そもそも学校描写とかどうするの? 無理です。ただひたすらに完結を見据えて、どうするかを考えた時、必然的に三島リサのキャラはスピンクスの二人のおまけ兼刺激剤ぐらいに落ち着くのです。

 

 皮肉めいた言い方をしていますが、僕はこのまとめ方は上手くやったほうだなと考えています。初期の段階で期待した展開では当然なかったのですが、どう考えても最初の方向性を続けてもミスる可能性の方が高かったのです。ならばこうやって小さくまとめる方向を選んだというのは評価してもいいんじゃないかなと。最終回に批判的な人はたぶんこの転換に納得がいかないのでしょう。小さくまとめる勇気というのもなかなか持てないもの、僕自身はそう思ってます。

 

 

 

随分ひねくれた評価だね。

だってまとまらない作品って多いんだよ?