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『放課後ロスト』

 ずいぶんと更新が滞りましたが……これからはちょいちょいマメにやっていきたいですね。

 少し(?)前に行ってきました。公開期間短いみたいだったので焦りましたね。久々のレイトショーでした。

 『放課後ロスト』はヤングエースで連載中の五十嵐藍さんの『ワールドゲイズ クリップス』を原作とした実写映画です。五十嵐先生独特の青春劇は確かに実写向きなのかもと、実写化と言われたときは思ったものです。観に行ってから、そういや原作2巻まだ読んでなかったなあと。帰ってきて読んで、あらびっくり。

 映画は三作の短編が随所で繋がって一つになってる形式です。三つに共通する登場人物はいなかったはず。内容の大枠は2巻に準拠しており、2巻を通して描かれた廃校前の高校の文化祭が共通の舞台になっています。やはり青春映画にするにあたって、特殊設定の多い1巻よりも、比較的普通の舞台を選んでいる2巻のほうがやりやすかったんでしょうね。『ワールドゲイズ クリップス』は各巻ごとに雰囲気を変えてくる作品ですが、この映画は2巻の空気感を出しながら、全体に通底する雰囲気も滲ませていた気がします。

 

『放課後ロスト』

 原作1巻の『放課後ロスト』を下敷きにした一つ目。女子高生夕希と絢子の二人の家出のお話です。大筋は原作通りです。この話だけ1巻収録なので、2巻の舞台に合わせるあたっての設定変更のみにオリジナル要素がある感じなのですが、これがかなり上手いです。当然原作の段階で文化祭なんて要素はないので、主人公二人は学校という舞台の外部の存在です。そのため、背景では文化祭に向けた演劇の練習風景が映っていても、どこか断絶がある。要するになにを他のキャラがしてるか分からないんですよね。その断絶が二本目、三本目の文化祭内部のキャラを通して、文化祭という要素に気づくことで、すっと埋まっていくんですね。1巻のエピソードという2巻からすれば異物であるものを、あえて一つ目に持ってきたのはセンスを感じます。

 

 『放課後ロスト』は原作にほぼ沿っているので、キャラもあまり原作から変更しようという意図はそれほどなく、実写化によって必然的に変わる部分しか変わってないです。そのあたりがこの話で大変だったんじゃないかなぁと思います。特に夕希のキャラは漫画では違和感はありませんが、実写で観るとわりとキツいキャラです。未来香穂さんも頑張ってらっしゃるのですが、いかんせん実写向きでないキャラだという印象は拭えません。また夕希が絢子の胸を揉むシーンとかレズのふりをするシーン(原作だと写メだけだったのに)とかは実写ならではでなかなか生生しく、その割にリアリティがないような気もします。僕は今の女子高生事情なんて知らないので、何とも言えないのですがどうなんでしょうね。展開上原作をいじれないのはわかりますが、漫画の実写化が難しいという命題にぶつかった作品だと思います。

 

 『放課後ロスト』は原作の初っ端のエピソードでした。初めて『ワールドゲイズ』を読んだ時に、ガツンときた感覚、それは変わらずこの映画でも健在でした。映画は流れていくものなのであまり点的に「おっ」となるってあまりないのですが、この作品の刺さり具合はすごいですね。

 

 

 

『らくがき うわがき』

 2巻の『らきがき うわがき』と『橙色の時間とさようなら』を中心に作られています。絵を描くことをやめてしまった元美術部の里未が文化祭で絵を描くことになり、元クラスメイトの古谷との対話を経て、絵を完成させていくお話(なんか違う気がするぞ)。

 

 このエピソードの段階で、どうやらこの学校は現在文化祭期間であり、里未たちはなぜか三年生だけで企画をやる羽目になっているという設定が明かされます。また『放課後ロスト』で印象的に映った壁に描かれた落書きが里未によって描かれたものであったことも明かされています。このあたりからふたつの話が舞台を同一にしてつながっていることがわかってきます。

 

 『放課後ロスト』が学校の外が結構出てくるストーリーだったのに対して、こちらは文化祭という枠組みが明確な学園ものです(2巻自体がそういうつくりですしね)。ただ原作では基本関わりのなかった里未と荻野を絡ませているのはいいのですが、いまいち荻野がなにしたかったのかわからないまんまですね。ただ場をかき乱す以上の意味を持てなかったというか。原作相当の場面は出来がいい分アンバランスな印象でしたね。台詞とかも原作のをそのまま使っている感じで、制作サイドとしてはこの話とか次の『倍音』をやりたくて映画にしたのかなぁと思います。

 

 里未はもとは五十嵐藍さんらしいちょっと達観したふうな静かなキャラでしたが、映画では生真面目なキャラになってましたね。まあ妥当なアプローチでしょうか。古谷くんは大体変わらず、荻野はストーリーの要請からちょっとキツめのキャラになってました。

 

 

 

『倍音』

 原作2巻の『プレイ フォー トゥデイ』と『常温で灰になる日々の燃え残りに移る幻』を中心に構成された第3話です。リカは音を集める留学間近の少女黒井と出会い、一緒に様々な音を集めていきます。この映画は『放課後ロスト』なら店(映画じゃちょっとわかりにくいですが)、『らくがき うわがき』なら文化祭と、なんらかのベースがあるのですが、『倍音』はそれが二人の間の「あそび」というとても曖昧なものに立脚しているというのが独特です。

 

 3話目に至って、この高校が廃校寸前であるということがわかります。校舎がなんとなくさびれた感じだったのはなぜか、どうして里未たちは三年生だけで企画をしなければならなかったのか、その理由がここで解明されるわけです。文化祭外部→文化祭内部&当事者→文化祭内部&俯瞰視点とずらしていくことで全体像を浮かび上がらせています。連作短編を繋げるのが非常にうまいですね。

 

 『倍音』は音を集める二人のひねくれた感じがいいですね。高校生活を過ごすうえで皆がついている嘘やごまかしに納得できず、かと言って反抗するのも疲れるので冷やかに笑い飛ばす、といったイメージでしょうか(うーん、違うかな……)。ほかの生徒たちの会話にアテレコしてるシーンは思わずクスリときました。なんだかんだこの話が一番まっとうな青春ものな気がします。

 

 キャラクターについていえば、原作ではリカの役どころは里未が兼任してるのですが(こいつ文化祭中にどんだけいろいろやってんだ)、そこは変更されてます。黒井はわりとそのまま。まあこの話で一番気になるのは理科の先生ですね。誰だよお前。急に出てきてキャラ立てすぎです。それと二人が大声で歌いながら校舎を走り回るシーンはわりとホラーだと思います。

 

 

 

 全体

 実写の青春ものなんて久しぶりに観に行ったのですが、やはり気になるのは演技なんでしょうか。いい歳したベテランに高校生やらせるわけにもいかないのもわかるのですが、もう少し演技頑張ってほしい気はします。そっちが気になって画面に集中できないというか。こういう方面の演技指導かもですが、だとしたら逆効果なんじゃないかなぁ。 少なくとも僕はそれほどいいとは思えませんでした。まあ単に僕がわかってないだけかもですが。ただ『らくがき うわがき』の中山絵梨奈さんはよかったと思います。キツさの中にリリカルな雰囲気が出てて。『仮面ライダーウィザード』の時はあんまりだったのですが、今回はとても存在感がありました。

 

 全体として観ているときはちょっと退屈な感じが否めないのですが、終わってみると「『ワールドゲイズ』だったなぁ」と思える映画です。原作を読んで何とも言えない気分になった人は一度観てみては。

 おいおい原作の方のレビューも書きたいと思います。

 

 

 

 原作原作って言い過ぎな気もするが……でも原作ありの実写のあり方って重要だと思うんだよなあ

 というか毎回けっこう文字数多いから、更新が遅れるんじゃ?