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『アルドノア・ゼロ』1-3話

 1話については前も書きましたが、3話までまとめたものを。3話まで通して改めて感じたこととかも書いてます。

 

1話

 起承転結でいうと、「起」に徹底的に特化した話です。明確に3話構成でストーリーを進めていて、この話は戦争が始まる経緯を描くことに終始しています。そのためあまり目玉がなく、地味な1話とも言えるでしょう。あおきえい監督というと1話でぶっ飛ばすイメージがあったので、少し拍子抜けな気分でもありました。ただ3話まで通して観ると、ここでその説明をしていたことが、あとのスムーズな展開に繋がっていることは確かです。『アルドノア・ゼロ』に関しては周辺設定がわからないということはありませんもんね。

 

 設定説明もあってか、地球と火星が交互に描かれている印象です。特に火星人の地球を蔑視しながらも、地球に強い憧れを持っていることはかなり強調されていましたね。冒頭からアセイラムの「本当に美しい星」という台詞から始まってますし、OP1話ではED)の『heavenly blue』のサビも「憧れの住まう蒼い星の光 ただ僕らは恋をして」ですもんね。この辺りはたぶんこれから描かれるんでしょう。

 

 1話は日常→非日常の切り替えが最大の見せ場です。そして改めて観ると、けっこう日常描写に時間を割いています。韻子が伊奈帆とテストで張り合っていることや、生徒会役員であることなど、最早忘れかけていた設定が色々あります。そういうのほほんとしたムードを最初にきっちり示しておくからこそ、最後の火星襲来が際立つんですね。BGMの入り方も素晴らしいです。

 

 またこの作品序盤の象徴として鞠戸大尉の「俺たちはどうやってこの嘘の落とし前をつければいい?」という台詞があります。この話の脚本は虚淵玄さんですが、彼のアニメ作品にはいつも決まったテーマがあります。それは「見えている世界を疑え」というものです。当たり前に受け止めているルールや社会の仕組み、自明であるはずのそれは突き詰めると全く違う形をとるというテーマを、虚淵玄はアニメという媒体で描き続けています。『A/Z』という作品はロボットもののストーリーの起点にそれを当てはめた作品と言えます。見えていたはずの世界が姿を変えた時、戦いが始まる。いつも虚淵玄が物語の中盤から終盤にかけて仕掛ける、作品全体を覆うメソッドを物語の立ち上がりに、それも1話という短い起承転結に使うという面白い方法だと思います。

 

蛇足:クルーテオ卿、杖まで持って完全に遠坂時臣だね/スレイン君マジで痛そう/ミサイル目の前であの冷静さは……/テロリスト容赦ないよね/騎士団、降下してる時が一番戦闘力高そう/ユキ姉の素敵お姉さん感異常でしょ

 

2話

 始まりとひとまずのオチを繋ぐ2話。派手な見せ場もなく、ここまで贅沢に尺を使えるのは流石スタッフのネームバリューといったところです。あまり感心出来る手法ではない気もしないでもないですが。ともあれ、冒頭ではまず火星の圧倒的強さを示しています。それと共に敵のカタフラクトを大雑把に見せていますね。これから出てきた時に「あぁ、あいつか」ぐらいにはなるようにしてくれてるのかもしれません。

 

 今では3話の印象が強くて2話は前座みたいな扱いを受けてますが、僕自身は2話で色々わかった気がして、この話は結構重要かなと思います。敵の圧倒的戦力、彼我の戦力差、伊奈帆の冷静さ、王女暗殺の陰謀の存在の明示、そしてトリルラン卿という「強そうだけど今の段階でも頑張れば倒せそう」なキャラを出し3話の展開を予想させる、と細部をしっかり固めています。1話が起点に終始したためできなかったことをうまいこと補って3話へとつなげているんだと思います。

 

 また2話の前半は後半で死ぬ起助の存在が大きいです。彼は『A/Z』のなかでとりわけ底抜けに明るいキャラで、既に消えつつある1話の学園ものの雰囲気を留めるキャラでした。彼がいる時はまだ学園ものっぽい空気が伊奈帆たちにもあったんですね。ですから彼が死んだ瞬間に一気にそれが消え失せ、シリアスパートに突入しています。なんとなく見せ場のために一人殺したわけではなく、きちんと起助が死亡する意味があったのです。

 

 起助死亡後は、他の人の避難のために自分たちが囮になるという外枠を作り、トリルラン卿という、その傲慢な性格から露骨に噛ませ犬っぽいキャラを相手に据え、異常に冷静な伊奈帆の姿を見せて、戦うことへの布石はばっちりです。

 

蛇足:序盤で無双してた刀の人が今じゃアレなんだよな/ライエはなんであんな太ももアングル多いの?/起助ホントに一瞬で死んじゃったな/姫様めちゃ強い/この時まだ姫様の正体に誰も気づいてないんだね/けっこうバレバレだと思うけど

 

3話

 1話から続くストーリーのとりあえずの結末の3話です。3話構成の利点をばっちり生かした痛快なバトルですよね。ただ12話あっての3話だと思うので、3話だけ褒めるというのはちょっと違うと思います。あくまで「結果」の部分がこの話だったというだけで、3話だけで盛り返したわけではないはずです。

 

 2話のユキ姉の「臨機応変に」という言葉がこんどは伊奈帆から向けられています。伊奈帆の説明によって、カタフラクトの仕組みや弱点がわかり、火星の圧倒的強大さが解体されて、倒し得る強大さになりました。またこの作戦に参加するメンツから今後の大体のメインキャラがわかりますよね。

 

 戦闘は典型的な頭脳戦です。量産機に乗った非力な主人公たちが、火星の高スペックのカタフラクトに知略を駆使して挑むという図式ですね。ただ『A/Z』が面白いのは、伊奈帆たちがとる作戦がそこまでド派手じゃないことですね。確かに伊奈帆の頭脳と作戦立案能力はすごいですが、やっている作戦の一つ一つは煙幕や車の運転、橋破壊やナイフの攻撃と、なんとかやれそうな簡単めな作業なんですよね。まあ姫様の変身は別ですが。よくある図抜けた作戦とそれを実行する超人集団という、弱いのか強いのかわからないみたいな雰囲気にしてないのが好印象です。伊奈帆のやたら冷静なキャラもそれに拍車をかけているんでしょうね。

 

 ところで、戦闘が始まる前夜の伊奈帆の台詞「きっとその時が来ても覚悟する暇さえないんだろう」。象徴的ですよね。『A/Z』に限らず、ロボットものはスケールが大きいぶん、没個人的にキャラが死んでいきます。伊奈帆にとっては友達の死という固有の死でも、起助にとっては理不尽な死でしかない。敢えてこういう台詞をこのタイミングで言わせるのは上手いなと思います。

 

 とにかく、1エピソード終わらせて、これからもこういう路線で敵を倒していくのかなと思わせる3話でした。ラストでスレインによるトリルラン卿殺害というショッキングなシーンも入れて、火星側にも動きを見せていますね。やはり3話分もかけてじっくり話を展開させていけるというのは強みですよね。そこは岩上敦宏さんの企画力なんだろうな。

 

蛇足:韻子地味に射撃力めっちゃあるよね/トリルラン卿、銃を向けられてのあの自信はなんなんだ/艦長とってもいい人/エデルリッゾ本格的に出番ないな/姫様中二扱い(笑)/戦闘は手堅いのに、姫様の変身だけ超常だな/事前考察見たの明らかに失敗だった

 

まとめ

 やはりアニプレだからこそできる猛烈なスタッフ固めだからこそって展開ではあると思います。「3話まで待って」というのも、虚淵玄やあおきえい、高橋カツヒコ、志村貴子のネームバリューあればこそなわけで(特に虚淵玄なんでしょう)。あまり好きな方法ではないですが、それも含めて企画なので、やはりすごいというべきでしょう。

 色々見ていて思うのは、この作品への過剰反応がすごいなということです。具体的には1話をボロカスに叩く人と3話をやたら褒める人が多いということです。そりゃ好みは人それぞれだと思います。でも1話がそこまで噴飯ものの出来でしょうか。ただ大がかりな見せ場がなかっただけでしょう。3話にしても、今まで積み重ねたものが結実しただけで、何もないところからいきなり出てきたわけじゃないと思います。虚淵玄というクリエイターが『まどか』をヒットさせたからでしょうか。他の作品なら大して気にしないことまで気にして叩いたり、逆に3話目というものに大きな期待を持ったりということがある気がします。3話構成で上手いことやったぐらいに思えばもっと楽だと思うのですが。

 放送では新たな展開も見せています。『A/Z』はますます目が離せませんね。