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2014年上半期劇場アニメ まとめ

今年の一月から六月までに観た劇場アニメを振り返ります。僕が観たもののみなのでかなり個人的ですが……

『映画プリキュアオールスターズ New Stage3 永遠の友達』

 僕がプリキュアファンということもあるのかもしれませんが、僕が観た上半期ベスト1はこの作品です。プリキュア10周年記念作にしてオールスターズNSシリーズ完結篇の本作ですが、まさしくNSシリーズの集大成とも言える作品でした。オールスターズは、DXシリーズの時も3作目が一番よかったのですが、NSもこのNS3が最高傑作だと思います。

 NSはオールスターズがDXから持っていた「プリキュアの継承」という概念を明確化したシリーズです。一月末までやっていた前のプリキュアはオールスターズで正式に卒業となり、今のプリキュアへと引き継がれます。DXでも現行のプリキュアのリーダーが一つ前のリーダーにぶつかるという印象的な演出がされていましたが、基本的にはプリキュア全員を出すことを主眼に置いたお祭り的作品だったので、メインというわけではありませんでした。しかしNSはメインストーリーを現行のプリキュアと一つ前のプリキュアに絞り(とりわけNS2以降)、交代劇という側面が強くなりました。放送中のプリキュアは未熟な存在として描かれ、一年の戦いを終えたばかりのプリキュアが導いていく。そういうストーリーラインがあり、一年間のプリキュアの成長を如実に感じることができる演出です。今回はドキドキからハピネスチャージへ。一年の重みを感じた人も多いのでは。

 NSの大きな発明は「プリキュアの客観視」にあると思います。坂上あゆみやプリキュアの妖精になる前のエンエンとグレルのような一般人視点で物語を進めることで、人から見たプリキュアとは一体なんなのか? 伝説の戦士と言われているが本当はどういう存在なのか? ということが描かれていますよね。これはプリキュアが主人公であり視点人物であるTVシリーズでは出来なかったことです。これはとても面白い試みだと思うのですがその反面、プリキュアが「伝説の戦士」という側面のみから描かれて、普段の少女としての側面が継承劇に関わる面々以外バッサリとカットされてしまいます。このためNSシリーズのプリキュアは「プリキュア」という記号と化してしまい、わりと非人間的なんですね(台詞しゃべらないのも多いし)。DX3で頂点に達したプリキュアたちの物語が好きな人はどうもこの辺りに納得できなかったのではないでしょうか。

 この矛盾を解消したのがNS3です。本作ではNS通してのテーマ「ともだち」に加えて「夢」というテーマが加えられました。これによってプリキュアたち個人個人のドラマを描くことに成功したと思います。プリキュアらしい等身大の少女たちの悩みや将来の希望。十年間通りして訴え続けたことが丁寧に描かれています。これによってNS3は客観視によって失った主観を取り戻し、TVシリーズに近い質感を得たと思います。NS独自の取り組みにTVシリーズやDXの良い点を加えたハイブリッド作品。それがNS3なのです。

 補足:NSはフィーチャーするプリキュアを絞ることで空いた尺で毎回何がしかの要素を付け足してますが、今回は母親のやさしさとエゴでしたね。非常に成田良美さんらしい脚本だと思います。また夢がテーマということでプリキュア5チームがクローズアップされてて、5ファンとしては大満足です。5に限らずTVシリーズネタも多く、かなりマニア御用達といった作品でしたね。

 

『TIGER & BUNNY The Rising』

 ベスト2はこれかな。『TIGER & BUNNY』は今でこそ女性人気が高いことで有名ですが、実はかなり男泣きの作品だと思います。特に虎徹のキャラは男性視点から見てとてもカッコいいキャラで、少年漫画的なアツさのあるキャラなんですね。これを女性ファンに話したら「虎徹がカッコいいなんて思うんだね」と言われたので、男性ファンと女性ファンで認識の差は結構あるんでしょう、たぶん。

 さて今回の劇場版ですが、予告編やらの壮大な引きとは裏腹に、本当に小さな話をどこまでも丁寧にやっていましたね。TVシリーズで盛大に張ったウロボロスの伏線は全く回収されず、CMでも意味深に語られたシュテルンビルドの女神伝説もただの見立てに過ぎず、敵キャラ三人やゴールデンライアンももしやウロボロスか? と思いきや全然そうでもなく……と予想したスケールのでかさの根拠みたいなものはどんどん壊されました。まあわざとなんだろうけど。

 結論から言うと、『The Rising』はTVシリーズで半ば引退したワイルドタイガーこと虎徹がヒーローとしてカムバックする、ただそれだけを描いた作品です。劇場版ということを考えるとかなり小規模なテーマで、あそこまで伏線張っていたんだから他にすることがあるだろという意見もあるでしょうが、僕は『タイバニ』がこのテーマをしっかり描いたのはとても良かったと思います。

 『タイバニ』は近年の作品にしてはありえないほど愚直に「ヒーロー」を描き続けています。何のために闘うのか、守りたいものは何なのか、いかにして悪に立ち向かうのか。鏑木虎徹という古臭く時代遅れで、しかしいつまでも色褪せないヒーローへの思いに溢れた男に触れて、多くのヒーローたちが自分の道を見つけていく。そんな泥臭いヒーロー観を斜に構えずまっすぐに本作は描いています。会社のロゴを身に纏うとか、NEXT能力とかいろんな装飾はあれど、作品の根っこにあるアツいヒーローへの思いを、劇場版は忘れていませんでした。それを体現する虎徹がカムバックする、まさに『The Rising』なんだな、と思います。こういう作品こそまた続編を作ってほしいですね。

 補足:TVシリーズで目立った当番回がなかったからか、ファイヤーエンブレムが今回フィーチャーされてましたね。確かにめっちゃかっこよかったのですが、ちょっとだけバランスが悪かった気もします。ライアン要らない説……だからミスリードなんだって。あとやっぱ最後に敵が巨大化するのはなあ。とにかく二期作ってほしい。最近必要なのかわかんない二期多いけどこれはほんとにいるでしょう。

『LUPN THE ⅢRD 次元大介の墓標』

 ベスト3はなにを選ぶか迷ったのですが(ベストっぽいのがあまりなかった)、これにします。やっぱり面白いから。『ルパン』好きな人(金曜ロードショーとかでやってる方ね)にはお薦め、そうでもない人には強いて薦めないかな。

 とにかくキャラがカッコいい。それに尽きると思います。タイトルに次元とあって実際に次元に焦点が当たるのですが、基本的にはやっぱりルパンが主人公。この二人が渋くて渋くて。キャラは少なめ。五右衛門も出ないし、銭形も最後にちょっと出るだけ。不二子はいるよ。栗田貫一さんとても上手いです。もう名実ともにルパンですね。小林清志さんの演技も負けていない。ルパン声優最古参のプライドを見せつけ、重厚な存在感を醸し出してます。まだ無二のパートナーとなる前ということで、微妙に距離感がある乾いた感じが堪りませんね。

 ノリとしては『峰不二子という女』路線というか、シリアスめでギャグ少なめといった印象でしょうか。バイオレンス描写もかなり容赦なく、敵のスナイパーの狙撃シーンはかなり迫力があり、ハラハラしっぱしでした。いつも気楽に楽しんでいる『ルパン』でこういう体験をするとは思ってなかった……

 ストーリーはそれほどスケールがあるわけではなくコンパクトにまとまっているイメージですが、中盤に怒涛の展開があり、「え、これどうなるの?」となります。それほど長い上映時間じゃないんですが、時間いっぱい楽しめるエンタメ作でしょう。そして最後にルパンと次元が煙草を一緒に吸うシーン。「ああ、こういうのが見たくて『ルパン』観てるんだなあ」と思わせる最高のダンディズムです。

 補足:沢城さんはすごく演技の上手い声優さんだと思うけど、不二子はまだいまいちハマっていない印象。これからどんどん一致していくかな? 次元の髭の角度がシャープでびっくりした。

その他

『劇場版 薄桜鬼 第二章 士魂蒼穹』

 総集編が裏目に出ちゃったかなあ。完全に尺が足りてない。短いなりに選んだ「鬼の一族」のテーマは良かったけど、新撰組の隊士のエピソードがばっさりで残念。TVシリーズはラストが好きじゃなかったので劇場版のラストのほうが好きだけど、沖田の最期はどうにかならなかったものか。TVシリーズのシーン好きだったのに。

 

『アナと雪の女王』

 世の中的には今年の劇場アニメと言えば既にこれになるのでしょう。内容はかなり王道なんじゃないかと。ミュージカル調を普通に入れたり、メルヘンな王国をど直球に出しても違和感ないのは欧米の強みですよね。とにかく日本じゃ絶対作れない作品だなと思いました。また展開がわりとアクロバティックで、どんでん返しの伏線を直前に張ったり、伏線を意外な角度で回収したりとそういう面白さもあったと思います。

 

『そらのおとしもの Final 永遠の私の鳥籠』

 非常に斬新な展開ですね(笑)。この手法でも作品として成立するんだなと感心しました。でもこの手のを二回も三回見せられるのはヤだなあ。最初だから許されるというか。原作は読んでないので何とも言えませんが、個々のシーンの再現度はすごいみたいですね。あとやはり早見沙織さんの演技が素晴らしい。これだけ制約が厳しい中ではよくやった方だと思います。

 

『たまこラブストーリー』

 完成度だけでいうとベストに入れてもいいかなと思ったんですが、なにせTVシリーズを観ていないもので。話題になってるから観に行った完全なミーハーです。観てみた感想としては非常に手堅い造りの恋愛ものだなと感じました。言われているほど図抜けた何かを感じたわけではないのですが、それはTVシリーズを観てるかどうかに左右されるみたいなので保留。似たジャンル(?)としては去年の『花咲くいろは』劇場版のほうが出来はいいと思うのですが、こちらはTVシリーズ観てたのでやっぱり判断は保留。

 

『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight's Dream』

 一作目がそれ一本で起承転結を持った完結した作品だったのに対して、かなり続編を意識した造りだったと思います。言われているほど原作未プレイ組に厳しいとは感じませんでした(気づいてないだけかもだけど)。なんかヱヴァみたいなキャスティングですね。そういう方面でも楽しめると思います。ラストの急展開にはわりと驚きました。やっぱり短い時間のエンタメ作としてのレベルは高いかと。あとタイトルが上手いですね。

 

総括:序盤の『アイマス』と『モーパイ』をTVシリーズが観終わってなかったため観に行けず、出遅れた感じの今年でしたが、上半期が終わってみるとまあまあ観たかな? 今年はあまり目玉っぽい大作がない年みたいですが、その分小さいながらも良作、というのが多いようです。それでも地味な印象は拭えませんが……やたら長い作品が多かった去年に比べて上映時間が短い作品が多く、でも密度は濃いといった感じでしょうか。下半期はどうなるやら。『楽園追放』とかが目玉なのかなあ。