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『炎を統べる―るろうに剣心・裏幕―前編』

 さあ、待ちに待った『るろ剣』読み切りがジャンプSQに掲載されました。予告通り今回は志々雄真実が主人公。〝夜伽〟の駒形由美との出会いの物語です。

 いやぁ面白い。和月伸宏がやってくれました。正直な話、今回の読み切りの情報が出た段階では不安もけっこうありました。二年ほど前に『キネマ版』が連載されたわけですが、まあ正直誰にでも薦められる出来ではなかった(僕は好きだけど)。やっぱり和月先生の絵柄が随分と変わっているし、雰囲気が『エンバーミング』から抜け出せていない部分があってかなり四苦八苦している印象でしたから。だけれどやっぱりさすがの本編。元祖『るろ剣』の凄まじさは今なお健在だと再発見しました(だって零話も好きだったし)。

 なにより志々雄がカッコいいのなんの。SQの表紙の時点から迫力満点です。センターカラーのイラストはちょっと今の絵柄の癖が抜けきっていないですが、本編からはだいぶかつての絵柄に近づけていると思います。良くも悪くも『キネマ版』がステップアップの礎になっている気がしますね。

 

 ~以下ネタバレ注意~

 舞台は明治十年、東京新吉原。天下を狙う志々雄真実は瀬田宗次郎、佐渡島方治は十本刀の集結を待つべく花魁の華焔(後の駒形由美)のもとに逗留している。宗次郎は子供たちとのじゃれ合いのなかに自身の神速ぶりを見せ、方治は煉獄へとつながる戦艦探しに頭を悩ませていた……

 と、まあご存知由美さんと志々雄の出会いなわけです。本編では京都編の最後にチラッとだけ明かされたストーリーが今回描かれているわけですね。『キネマ版』が意図的に本編の雰囲気から外して描かれていたのに対して、『炎を統べる』は完全に本編のノリに合わせて描かれています。私兵団みたいなのが出てくるあたり、東京編(冒頭から斎藤が出る直前まで)みたいでなにやら懐かしい感じです。

 細かいところを見ても、各キャラの性格、時代観、あれこれの設定(煉獄とかマリア・ルーズ号事件とか)、全てに周到に気を配って描かれていると思います。本編を読むときの感覚が『炎を統べる』を読んでいるときもあるんですよね。素晴らしい。

 そして墨絵! 和月と言えば墨絵ですよ。『るろ剣』の時はそれほど多様してなかった手法で、『武装錬金』辺りから和月先生十八番のメソッドみたいになってる墨絵ですが、これが今回も印象的に使われてますね。SQの表紙から始まり、極め付けは最後のページ。圧倒的迫力でしばらく頭が真っ白でした。

 「所詮この世は弱肉強食 強ければ生き 弱ければ死ぬ」

志々雄真実の絶対の真実。それがどのような形で後編に繋がるのか。後編は大バトルらしいので期待大です。